犬が眠った日

研究分野は社会学・インターネット上の表現活動。その関係の記事多し

みんながライセンスをつけるには、「他者」が必要。

前にも書いたが、ある著作物をどう利用するかのルールはコミュニティ内部で「暗黙の了解」になりやすい。アスキーアートにおける共有でも、どのような利用ならOKかのガイドラインは殆ど作られることはない。そのつど場の「空気」を読みながらやることになる。
ただし、あくまでも「コミュニティ内部で」である。そのコミュニティに属さない「他者」がそこに入り込めば、ライセンスが必要になる。たとえば、常に「他者」と接することになる素材サイトでは、多くの場合何かしらの規約が存在している。アスキーアートでも、個人サイトで発表する場合は規約が書かれることがある。またタカラやエイベックスという「他者」が出現した「ギコ猫騒動」や「のまネコ騒動」では、ガイドラインを作ろうという動きが出た。このように他者と接する必要がある場合は規約が必要となる。

初音ミクの著作権問題にさいして、作品に何かしらのライセンス(ガイドライン)を付けるべきできだ、という意見が出た。どうやら、「クリエイティブ・コモンズ」が有力候補であるようだ*1。この動きも、ドワンゴJASRAC)という「他者」が存在したからだろう。

このような動きは、今後も続くのであろうか。つまり一般の素材サイトのように、作品を発表する際は何かしらの規約を書くことが常識になるのであろうか。私は、ドワンゴという「他者」が「ニコニコ動画」にかかわり続ける限りはこの動きは続くと思う。アスキーアートの場合は、「他者」が殆どいないためライセンス(ガイドライン)が作られなかった。ドワンゴは着メロやCDなど頻繁に「ニコニコ動画」に関わっている。おそらくこの動きは今後も続くだろう。「ニコニコ動画」は、素材サイト化する可能性が高い。

追記

でも、うやむやのまま終わる可能性も高いかなー。うーん、分からん。

*1:[http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2007/05/11/15676.html:title=「クリエイティブ・コモンズ」を否定した「ニコニコ動画」]で「クリエイティブ・コモンズ」が話題になるのは、何か皮肉的である。