犬が眠った日

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研究分野は社会学・インターネット上の表現活動。その関係の記事多し

カギさんのインタビューを読んで

カギさんって、同い年だったのか。「ナナメシティ」懐かしすー。
2つ思ったことがあるので、書いておく。

カギさんの著作権意識について

# 2008年01月07日 y_arim interview, flash, mad, niconico, amateur, amateurism, contents, copyright ちょいネガコメ。/アマチュア制作者が権利問題に単に無知無関心なのはそれはそれで問題。先日はそれが無断配信につながった面も/あと、これを錦の御旗に著作権全般のファックを主張するひとが出てきてもやはり問題。

はてなブックマーク - ニコニコ動画の無断転載に「ありがとう」──「魔理沙は〜」「ウサテイ」のFlash作者が語る本音


アスキーの記事には「あまり興味がなくて」と書いてあるけど、自分が知る限りは「無知無関心」とまで言えないと思う。
自分が、卒論*1のためにインタビューする相手を探していたときのこと。「ニコニコ動画」でたくさん派生作品が作られている「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」の作者であるカギさんにインタビューするのはどうかと思いついた。とりあえずカギさんのサイトに行ってみたら、カギさんは自分のサイトに「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス表示-非営利 2.1」を適用していた。それで東方系FLASHはどうなっているのかと質問してみたら、次のように答えてくれた。

[148] 東方系FLASHのライセンスについて

 HN:wanda001 [2007/09/06/06:01] - URL レス

初めての投稿、失礼します。

カギ氏のFLASHのライセンスについて質問があり、スレを立てました。

147番の方の質問と被る部分があるのですが、カギ氏が製作されている「魔理沙」などの東方系のFLASHも、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示 - 非営利」で提供されているのでしょうか。

著作権の説明の部分に、「このサイトのコンテンツ」とあり、リンクされているだけの東方系FLASHのライセンスはどうなっているのか気になり、質問しました。

どうか、よろしくお願いします。

 HN:カギ [2007/09/06/15:07] - -

どうもカギです。
ご質問の件ですけど、二次創作に関しては一次創作者の著作権ポリシーに従うのがモラルだと、私個人としては思っています。ですので、「私の制作した部分」に関しては一次創作者のポリシーを超えない範囲で自由な使い方をされてもいいと思います。サイトのクリエイティブコモンズからは外れる形になりますね。ただ、音楽などの私の作っていない部分に関しては、その制作者がどのようなスタンスに立っているのかにもよります。
この辺の著作権うんぬんに関してはまたaboutページの方に追加しておかなければならないと思います。

 HN:wanda001 [2007/09/06/15:40] - URL

お答え、ありがとうございました。

 HN:カギ [2007/09/06/15:40] - -

ちなみに私としては、オリジナルに関しては二次創作OK、それの販売ももちろんOK、でもコンテンツそのものを抜き出して販売するのはNGというスタンスです。
一方CCでは、FAQによると「非営利目的に限って、他の人があなたの作品とそれに基づく二次著作物を複製、頒布、展示、上演、演奏、口述、上映、公衆送信、翻案することを許可する」とあります。
おそらくCCの言う「二次著作物」≠「二次創作物」であり、「二次創作」に関してはバナーを貼っている限りOKであるということを表明するものとしているのでしょう。が、字面も意味も両者似通っており、この辺が誤解を招く要因にもなっているような気もします。
この辺はまだ勉強不足なので、よくよく調べる必要はありますけどね。


「勉強不足」とは言っているけれど、しっかり考えは持っていると受け取った。カギさんは「権利問題に単に無知無関心」ではないと思う。
ただ、id:y_arimさんの「アマチュア制作者が権利問題に単に無知無関心なのはそれはそれで問題」という問題意識には同意する。まだ、そこまで調べていないけれど、現時点では。
ちなみにインタビューは申し込まなかった。他に色々と忙しかったのと、初対面でインタビューを申し込むのが何かこわかったので*2

「仮名的な匿名性」における共有と、「無名的な匿名性」における共有

── せっかくコンテンツを評価してくれるなら、やっぱり作者である自分のほうにも向いてほしいとは思いませんか。

カギ ………少し(笑)。

── 動画共有サイトとして、クリエーターのそういう欲求を満たせるような仕組みができればいいですよね。コンテンツに「作者:●●」と出るような。

カギ 今のニコニコ動画にそういう仕組みが追加されれば、面白いとは思います。確かに、作品を作る意欲は高まりますし。
MADとかパロディを投下している人達も、有名になりたいとか、そうした欲求が多少はあるんじゃないかと思うんですよ。せっかく技術やセンスを持っているんだから、匿名といっても、やっぱり評価は受けたいんじゃないかと。

ASCII.jp:ニコニコ動画の無断転載に「ありがとう」──「魔理沙は~」「ウサテイ」のFlash作者が語る本音|古田雄介の“顔の見えるインターネット”


エリック・レイモンドの意見として、ハッカー達のソフトウェア共有は「評判」によって成り立っている、というものがある*3 *4。レイモンドはハッカーの間で「名前をプロジェクトからはずすことは、文化的な文脈では究極の犯罪」としている。「名前」の有無は共有において結構重要なのかもしれない。インタビューからも、「評判」が作品を作るうえ動機となることが分かる*5

でも、共有には別の形もあるんじゃないだろうか。いわば、ハンドルネームを持つ「仮名的な匿名性」(別に本名でも問題はないけれども)に対して、名無しによる「無名的な匿名性」での共有だ*6。つまり、「モナー」のようにその創作に誰が関わったのか不明である場合、その作品は共有される可能性が高いのではないか。別に権利者が著作権を主張する機会が無いからという意味だけでなくて。使う人々の意識としても、不明である方が共有しやすいのではないか。少なくとも「2ちゃんねる」で行われている共有(AA、コピペ文)は、「無名的な匿名性」の影響があると考えている(「仮名的な匿名性」がゼロではない。AA系板のコテの多さから分かるように)。

一応書いておくと、どちらの共有がより良いのかは話していない。どちらにも、メリットとデメリットがある*7。ただニコニコ動画の場合はそのシステムが「無名的な匿名性」ではない*8ので、「仮名的な匿名性」での共有が主流にはなると思う。

*1:テーマは人々の著作権意識。アスキーアートフリーソフトウェアオープンソースを事例として。

*2:この性格直すのが今年の目標

*3:[http://cruel.org/freeware/noosphere.html:title]

*4:[http://hidetox.com/blog/2007/10/16/hatsune-miku-and-hacker-economics/:title]

*5:ただし、「ピアプロ」を見る限り簡単にそうとは言えない。まだ正確数えてはいないが、作品の利用条件として「名前の表記」をあげている人はそんなに多くない。

*6:「仮名的な匿名性」、「無名的な匿名性」は、松村真宏(他)「[http://www2.econ.osaka-u.ac.jp/~matumura/2ch.html:title]」から

*7:「仮名的な匿名性」には作者を気にする必要があるので、完璧に自由にはならないかもしれない。「無名的な匿名性」では権利者がハッキリしないので、利用するときに「空気」を読む必要がある。そして、読み間違えたら「のまネコ騒動」みたいなのが起きかねない。

*8:動画をクリックすれば、誰が投稿したか分かる

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