犬が眠った日

研究分野は社会学・インターネット上の表現活動。その関係の記事多し

「グレイゾーン」を考える。

はじめに

著作権議論では、「グレイゾーン」が時々話題にあがる。私ははてブのタグで「グレイゾーン」というタグを付けているけど、現在26個。あと、気になった記事本文も保存用にプライベートで集めていて、そちらも「グレイゾーン」に言及した記事がいくつか溜まっている。

この記事では、この「グレイゾーン」というのはいったいどういう状況のことなのかを考えてみる。世間一般では分かりきったことなのかもしれないけど、私はこの「グレイゾーン」がいったいどういうものなのか時々分からなくなることがあるので。

結論を先に述べれると、「グレイゾーン」とは物事の「選択肢」の状況を表した言葉であり、選択肢の状況として考えられる「多い」、「少ない」、「明確」、「曖昧」の「曖昧」を表した言葉である。

「何」の状況を表したものなのか?

まず、「グレイゾーン」とは「何」の状況を表したものなのか。この言葉が使われている状況を見ると、具体的には「契約」や「法律」などが思いつく。私は、それらをひっくるめて「選択肢」の状況を表した言葉が「グレイ」なんだと思う。契約も法律も「○○のときはこうします」という選択をするものだ。「二次利用をするときは、○○してください」、「著作権を侵害したときは、○○の罰を与えます」。この○○に入る種々様々な「選択肢」が「グレイ」の状況を表している。

「選択肢」が「どのよう」であるのか?

では、選択肢がどのような状況であるのが「グレイ」なのか。ここで、次のような図を描いてみた。

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これは、選択肢の状況を表したマトリックスである。ここの中で、「曖昧」を表しているのが「グレイ」である。その反対側には「明確」があり、横には「多い」と「少ない」が存在している。
だから大きく分けると、

  1. 選択肢が明確で少ない
  2. 選択肢が明確で多い
  3. 選択肢が曖昧で少ない
  4. 選択肢が曖昧で多い

の4つが図面上ではありうる。色で言えば、白黒とその間のグラデーション(灰色)以外にも、青も赤も黄色も緑も、それらの色の間にあるグラデーションも存在する。
具体的にはこんな感じだろうか。

  1. 「ご飯にする?お風呂にする?」
  2. 「ご飯にする?お風呂にする?子供顔見る?服着替える?寝る?etc…」
  3. 「幸せになる?気持ちよくなる?」
  4. 「幸せになる?気持ちよくなる?楽しくなる?嬉しくなる?悲しくなる?etc…」

「総表現社会」になって著作権に関わる人々が増える=色んな価値観の人が著作権に参入するから、「明確で少ない」という選択肢は消えていくと思う。残り三つ、どの道をいくのかな*1

*1:他の道もありそうだが