犬が眠った日

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研究分野は社会学・インターネット上の表現活動。その関係の記事多し

「歌声を作る」―「Vocaloid」の説明書

 「音楽を作る」という言葉を聞いて、あなたは何を想像するだろうか。音符の組み合わせで様々な「曲、メロディを作る」と言う意味だろうか。それとも、言葉を無限に組み合わせて「歌詞を作る」と言う意味だろうか。または、様々な種類が存在する楽器を使い、「音を奏でる」という意味だろうか。これらはそれぞれ「作曲」、「作詞」、「演奏」と言われ、「音楽を作る」行為の代名詞である。
 だが技術の進歩した21世紀において、新たな意味を「音楽を作る」に加えて欲しい。それは「歌声を作る」という意味である。そして、それを可能にした「Vocaloid」というテクノロジーを覚えて欲しい。
 おそらく「歌声を作る」という表現は、すぐには理解しにくいと思う。「歌声とは、生身の人間がその人が持つ声を使って出すものである。だから、『作る』ことができるものではないはずだ。人物Aが、別人Bの声を出せるものではない。ジョン・レンノンや桑田佳祐の歌声を出せるのは本人だけだろう」と思われるかもしれない。人とその人が持つ声は、その人だけが持つ繋がりであると。
 しかし、あなたのその認識は変更する必要がある。「Vocaloid」は、あなたが「別人の声」を使って、その「歌声」を作ることを可能にした。より具体的に言えば、「Vocaloid」のソフトウェアをパソコンに入れ、パソコンの画面上からソフトを様々に操作すれば、スピーカーからその「別人の歌声」を「歌わせる」ことができるのである。
 これは、作曲や作詞はできるが、適当な歌い手が身近にいないクリエーターには朗報である。自分専属の「歌い手」を持つことができるのである。また、将来より「Vocaloid」の技術が発達すれば、今はこの世にはいない歌い手達の歌声を既存の音声データーを元に作ることができるようになるかもしれない。これは作り手だけでなく、その歌手のファンである受け手の人にとっても嬉しいことだろう。
 「Vocaloid」は、「音楽を作る」ということの最後に残った聖域に踏み込んだテクノロジーなのである。

続き(読んでくれると、助かります):「誰」の歌声を作るのか―「Vocaloid」の説明書の裏書

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