犬が眠った日

研究分野は社会学・インターネット上の表現活動。その関係の記事多し

大学新入生向け:「調べる」「読む」「書く」「考える」ためのツールたち

  • この記事について
    • 2017年10月28日更新
  • 調べるために
    • 調べるために、その他のツールたち
  • 読むために
    • 読むために、その他のツールたち
  • 書くために
    • 書くために、その他のツールたち
  • 考えるために
    • 考えるために、その他のツールたち
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この記事について

この記事は、社会科学系の大学1・2年生向けに、大学での勉強で役に立つと思う本・ツールを紹介する記事である。もともとは、私が授業補助員をしている大学生向けに書いたものである。本に関しては、実際にすべて目を通してある。

これらの本・ツールを使えば、大学での勉強(集大成としての卒論)をだいぶ効率的に進められるだろう。

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Excelを使った参考文献リスト作成法

  • 概要
  • 既存の参考文献管理ソフトたち
  • Excelの使う理由
  • Excelを使った参考文献リストの作り方
    • (1)日頃から、Excelに参考文献を書いておく
    • (2)日本人の名前にローマ字でふりがなを書く
    • (3)A1を選択して、昇順(A→Z)で並び替える
    • (4)表を選択、コピーして、Wordに貼り付ける(「テキストのみ保持」)
    • (5)参考文献一覧を選択して、タブを「,」に置き換える
  • 終わりに・その他の形式

概要

 論文を書くときは、参考文献リストを載せるなければならない。ただ、場合によっては100を超える参考文献を、決まった順番・様式で並べるのは手間がかかる。
 この記事では、学生にも身近なExcelを使って参考文献リスト作成方法を紹介する。

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『まどか☆マギカ』架空キャラクター制作から分ること:「釣り」の力

  • 何があったか?
  • 分析:「釣り」について。2chの漁師たち
  • 参考文献
    • 本スレ
    • その他
  • 編集歴

第1情報源:「まどマギ映画やるし架空の魔法少女作ってまど豚釣ろうぜwwwwww - ゴールデンタイムズ

何があったか?

 『まどか☆マギカ』の架空の新キャラクターが、電子掲示板ユーザーたちによって作られた。

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「虚構新聞」リテラシー議論の時系列(1日目)

  • 概要
  • 2012年5月14日
    • (1)8時13分頃*1:UK氏が発端となる記事(以下「記事1」)を載せる
    • (2)9時30分:Yousuke Yamamoto氏が「記事1」に反応している人々を見つける
    • (3)10時7分頃*2:Yamamoto氏が「記事1」へのTwitterの反応をまとめる
    • (4)10時15分:「はちま起稿」の管理人が「記事1」に反応した人を自身のブログに取り上げる(削除済み)
    • (5)12時43分:「2ちゃんねる」で「id:n0621xXQ0」氏が上記のNEVERまとめのリンクを貼る
    • (6)13時15分:JIN氏が自身のブログに上記のレスを引用する
    • (7)14時2分頃*3:「ロケットニュース24」が「記事1」への反応を記事にする
    • (8)14時17分:「2ちゃんねる」で「◆JET5.N1/iA」氏(be名)が上記の記事を基にスレを立てる
    • (9)15時ごろ〜:各種2chまとめサイト管理人が上記のスレを引用する
    • (10)16時45分:UK氏が「記事1」への反応に「虚構新聞Twitter公式」で言及
    • (11)17時3分*6:橋本麻里氏が「記事1」へのTwitterの反応をまとめる
    • (12)18時35分:【主張】篠原修司氏が「記事1」について自身のブログで述べる
    • (13)20時19分:ITメディア「ねとらぼ」がUK氏の言及を記事にする
    • (14)20時49分:「Yahoo!ニュース」・「ニコニコニュース」で「ねとらぼ」の記事が配信。「Yahoo!ニュース」ではトップに表示*7
    • (15)22時12分:「2ちゃんねる」で「id:IfoS8NLU0」が「NEVERまとめ」を元にスレを立てる
    • (16)23時24分:「2ちゃんねる」で「ID:616cQByH0」が上記の「Yahoo!ニュース」を元にスレを立てる
  • 14日の感想
  • 更新履歴
    • 2012/05/20
    • 2012/05/23

概要

 2012年5月14日から数日間、UK氏が管理するジョークニュースサイト「虚構新聞」で、あるジョークニュースをめぐる騒動(議論)が起こった。この記事では、そのジョークニュースへの反応・UK氏の発言・騒動への言及などをまとめている。

 このまとめを作ったのは、メディアリテラシー研究の資料整理のため。こういう話題は、時間がたつとまとめるのが不可能になるからね。

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オリジナルアニメ『Code of SMILE』公開:創作コラボレーションは、魔法の砂なんかじゃない

  • オリジナルアニメ『Code of SMILE』公開
  • 「創作コラボレーションは、魔法の砂なんかじゃない」
    • 用語説明
    • ジェイミー・ザウィンスキーはMozillaに挫折する
    • 創作コラボレーションの難しさ
    • ニコ-アニが見せてくれたもの
  • 参考文献

オリジナルアニメ『Code of SMILE』公開

2012年5月5日、オリジナルアニメ『Code of Smile』がニコニコ動画で公開された。制作は「Nico-Animation Project」(通称「ニコ-アニ」)。オリジナルアニメを作ろうと、ニコニコ動画公式掲示板に集まった人たちが作ったコミュニティ(企画)である。

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「ニコニコ学会」で発表したかった原稿

  • この記事について
  • あいさつ・リード
  • 創作コラボレーションの類型
  • ニコ-アニとは?
  • 共同創作における権限の構造
  • まとめ
  • 資料
  • PDFリンク

この記事について

2011年12月06日に開かれた「第1回ニコニコ学会βシンポジウム inニコファーレ - ニコニコ生放送*1で、修士論文を元に発表してきました。「第5セッション 研究してみたマッドネス」での「創作コラボでの権限」(正式なタイトルは、「創作コラボレーションにおける権限のあり方」)*2で、発表しています。

*1:ニコニコ動画にログインで、一般会員でも見ることができます

*2:動画上の私の発表部分に飛びます

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「権利者に許可をもらってない二次創作物に対して、その二次創作物の作者は著作権を主張できるか」を調べた結果

この記事について

この記事では、以前に書いた「犬が眠った日 : のまネコの問題点(「私物化」編)」の一部を、ほぼそのまま載せている。上の記事は、著作権意識に関する卒業論文社会学)を書く中で、調査の途中経過として書いたものである。

今回、「同人探 : LINDA ProjectのLINDA様、『NARUTO』はあなたの著作物ではありません。」や「そろそろ同人誌二次創作物の著作権について一言いっておくか*ホームページを作る人のネタ帳」を見ていく中でこの記事が役に立つと思い、再掲することにした。

この記事の欠点として、取り上げている文献が古い版であることに注意。申し訳ない。

概要

「原著作権者に許諾を取っていない二次的著作物に対して、その二次的著作物の著作者は著作権を主張できるか」*1という問題がある。この記事では、「著作権法の研究者たちが、この問題に対してどのような主張をしているのか」について調べた。その結果、「著作権を主張できる」が通説であると分かった。

*1:法律用語をあまり使わない言い方だと、「権利者に許可をもらってない二次創作物に対して、その二次創作物の作者は著作権を主張できるか」になる

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Facebookで一番驚いているのは、「匿名・実名議論」ではなく、「匿名・実名問題」になったこと

 ネットに関する匿名・実名議論は、昔からある。自分が持っている一番古い資料では、『科学朝日』1993年10月号177ページに匿名・実名議論が載っている。1993年という時代から分かるように、「インターネット」ではなく、「パソコン通信」の方のネットだ。ネットにおいて、匿名・実名議論は常に付きまとう議論だった。

 しかし、Facebookに関する匿名・実名議論は、どうも今までとは違う。「議論」ではなく、「問題」として存在している。

 今まで行われてきたのは、しょせん議論だ。実名派が議論に勝っても、匿名派を実名にさせる権限を持つわけではない。たとえ、「このwebサービスは実名必須です。匿名の場合は削除します」というルールを設けたwebサービスを私が作ったとしても、そもそもそのwebサービス自体を匿名派が無視して(そもそも無関心で)終わりだろう。関係性を簡単に切ることができるので、両者の間で「問題」は生まれない。

 だがFacebookは、この実名派webサービスを無視できない(無関心でいられない)匿名派を誕生させた(「facebookの古い悪習に、僕らがNo!と言う理由 - しっぽのブログ」)。その一方で、Facebookはユーザーを退会させる権限(ユーザーとは非対称な権利)を持つ。意見が対立しても、離れられない。関係性を切ることができない中で、両者に衝突(匿名者を退会)が起きたとき、「匿名・実名議論」は「匿名・実名問題」となった。

 「問題」となったことは見たことがなかったので、匿名・実名・顕名・通名・「仮名的匿名性」(いわゆる固定ハンドルネーム)・「無名的匿名性」(いわゆる「名無し」)*1をめぐる問題の、新たな局面を迎えているように感じた。

更新履歴

2011/2/24

  • 「(無関心でいられない、離れたくない)」を「(無関心でいられない)」に修正
  • 「掲示板」となっていたところを「BBS」に修正
  • 「意見は対立しても、離れられない」を「意見が対立しても、離れられない」に修正

20011/3/5

  • 「『このBBSは実名必須です。匿名の場合は削除します』というルールを設けたBBSを私が作ったとしても、そもそもBBS」にある「BBS」を「webサービス」に変更。

*1:松村真宏・三浦麻子・柴内康文・大澤幸生・石塚満,2004,「2ちゃんねるが盛り上がるダイナミズム」『情報処理学科論文誌』45(3):1053-61.(http://www2.econ.osaka-u.ac.jp/~matumura/2ch.html,2007.12.14)でも公開。

2010年夏コミ(コミックマーケット78)論文:「同人文化における『頒布』の意味解釈」の全文

  • この論文の初出
  • はじめに
  • 1.即売会チラシの「頒布」・「販売」の使用頻度データ
    • 1-1 調査の注意点
    • 1-2 方法調査
    • 1-3 結果
    • 1-4 考察
  • 2.事例の検証
  • 3.仮説
  • 4.おわりに
  • 参考文献
  • PDFバージョン
  • 更新履歴

この論文の初出

 この論文は、2010年夏コミ(コミックマーケット78)のときに、サークル「ロージナ茶会」の同人誌に提出したものです。詳しくは、次の記事をご覧ください。

はじめに

 本論文では、同人文化において「頒布」という言葉が使用者のどのような動機の元で使われているのかを考察する。「頒布」という言葉は、似た意味を表す「販売」と比べると一般に見かける頻度は少ない。グーグルの検索結果は「販売:286,000,000、頒布:13,400,000」であり、ウィキペディアでは「販売:44,190、頒布:799」、朝日新聞アエラ週刊朝日のデータベースである「聞蔵2」では「販売:313,012、頒布:2,159」(すべて、2010年4月12日20時頃の検索結果)であった。だが同人文化の中では、あえて「販売」という言葉を使わず、「頒布」を使う人々がいる。同人文化の中では、「頒布」はどのように意味づけられた言葉なのだろうか。

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