「ニコニコ学会」で発表したかった原稿
- この記事について
- あいさつ・リード
- 創作コラボレーションの類型
- ニコ-アニとは?
- 共同創作における権限の構造
- まとめ
- 資料
- PDFリンク
この記事について
2011年12月06日に開かれた「第1回ニコニコ学会βシンポジウム inニコファーレ - ニコニコ生放送」*1で、修士論文を元に発表してきました。「第5セッション 研究してみたマッドネス」での「創作コラボでの権限」(正式なタイトルは、「創作コラボレーションにおける権限のあり方」)*2で、発表しています。
「権利者に許可をもらってない二次創作物に対して、その二次創作物の作者は著作権を主張できるか」を調べた結果
この記事について
この記事では、以前に書いた「犬が眠った日 : のまネコの問題点(「私物化」編)」の一部を、ほぼそのまま載せている。上の記事は、著作権意識に関する卒業論文(社会学)を書く中で、調査の途中経過として書いたものである。
今回、「同人探 : LINDA ProjectのLINDA様、『NARUTO』はあなたの著作物ではありません。」や「そろそろ同人誌二次創作物の著作権について一言いっておくか*ホームページを作る人のネタ帳」を見ていく中でこの記事が役に立つと思い、再掲することにした。
この記事の欠点として、取り上げている文献が古い版であることに注意。申し訳ない。
概要
「原著作権者に許諾を取っていない二次的著作物に対して、その二次的著作物の著作者は著作権を主張できるか」*1という問題がある。この記事では、「著作権法の研究者たちが、この問題に対してどのような主張をしているのか」について調べた。その結果、「著作権を主張できる」が通説であると分かった。
*1:法律用語をあまり使わない言い方だと、「権利者に許可をもらってない二次創作物に対して、その二次創作物の作者は著作権を主張できるか」になる
Facebookで一番驚いているのは、「匿名・実名議論」ではなく、「匿名・実名問題」になったこと
ネットに関する匿名・実名議論は、昔からある。自分が持っている一番古い資料では、『科学朝日』1993年10月号177ページに匿名・実名議論が載っている。1993年という時代から分かるように、「インターネット」ではなく、「パソコン通信」の方のネットだ。ネットにおいて、匿名・実名議論は常に付きまとう議論だった。
しかし、Facebookに関する匿名・実名議論は、どうも今までとは違う。「議論」ではなく、「問題」として存在している。
今まで行われてきたのは、しょせん議論だ。実名派が議論に勝っても、匿名派を実名にさせる権限を持つわけではない。たとえ、「このwebサービスは実名必須です。匿名の場合は削除します」というルールを設けたwebサービスを私が作ったとしても、そもそもそのwebサービス自体を匿名派が無視して(そもそも無関心で)終わりだろう。関係性を簡単に切ることができるので、両者の間で「問題」は生まれない。
だがFacebookは、この実名派webサービスを無視できない(無関心でいられない)匿名派を誕生させた(「facebookの古い悪習に、僕らがNo!と言う理由 - しっぽのブログ」)。その一方で、Facebookはユーザーを退会させる権限(ユーザーとは非対称な権利)を持つ。意見が対立しても、離れられない。関係性を切ることができない中で、両者に衝突(匿名者を退会)が起きたとき、「匿名・実名議論」は「匿名・実名問題」となった。
「問題」となったことは見たことがなかったので、匿名・実名・顕名・通名・「仮名的匿名性」(いわゆる固定ハンドルネーム)・「無名的匿名性」(いわゆる「名無し」)*1をめぐる問題の、新たな局面を迎えているように感じた。
更新履歴
2011/2/24
- 「(無関心でいられない、離れたくない)」を「(無関心でいられない)」に修正
- 「掲示板」となっていたところを「BBS」に修正
- 「意見は対立しても、離れられない」を「意見が対立しても、離れられない」に修正
20011/3/5
- 「『このBBSは実名必須です。匿名の場合は削除します』というルールを設けたBBSを私が作ったとしても、そもそもBBS」にある「BBS」を「webサービス」に変更。
2010年夏コミ(コミックマーケット78)論文:「同人文化における『頒布』の意味解釈」の全文
- この論文の初出
- はじめに
- 1.即売会チラシの「頒布」・「販売」の使用頻度データ
- 1-1 調査の注意点
- 1-2 方法調査
- 1-3 結果
- 1-4 考察
- 2.事例の検証
- 3.仮説
- 4.おわりに
- 参考文献
- PDFバージョン
- 更新履歴
はじめに
本論文では、同人文化において「頒布」という言葉が使用者のどのような動機の元で使われているのかを考察する。「頒布」という言葉は、似た意味を表す「販売」と比べると一般に見かける頻度は少ない。グーグルの検索結果は「販売:286,000,000、頒布:13,400,000」であり、ウィキペディアでは「販売:44,190、頒布:799」、朝日新聞・アエラ・週刊朝日のデータベースである「聞蔵2」では「販売:313,012、頒布:2,159」(すべて、2010年4月12日20時頃の検索結果)であった。だが同人文化の中では、あえて「販売」という言葉を使わず、「頒布」を使う人々がいる。同人文化の中では、「頒布」はどのように意味づけられた言葉なのだろうか。