犬が眠った日

研究分野は社会学・インターネット上の表現活動。その関係の記事多し

2ちゃんねるの「無名」で凄いと思ったこと

 「2ちゃねる」と「匿名」、というか「無名」が結びつくと、大抵悪い話が出てくる。実際、悪い影響(無責任とか、過熱化とか)が多いんだろう。
 でも、著作権の場面では、この「無名」は凄いなと思った。

クリエイティブ・コモンズ

 クリエイティブ・コモンズのライセンスは、現在バージョン2.1にある。ちなみに、もうすぐ3.0になるという。
 それで、バージョン1からバージョン2への変更(2004年5月)で、もっとも大きな変更は「帰属表示(作品を創作した人(著作者)の氏名、作品のタイトルなど、作品に関する情報を表示しなくてはならない)」のライセンスがデフォで付いたこと*1。何でこうなったかというと、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCL)を使う人の97〜98%が、「帰属表示」を選んだからだそうだ*2。これならデフォで付くようにした方が簡略されてイイ、ということだったらしい。
 98%。共有に積極的だと当たると思われる人々でも殆どの人が、「無名」を拒否している*3
 この気持ちはよくわかる。自分も「帰属表示」のライセンスを付けるかどうか選べたとしても、間違いなく「帰属表示」は付けていた。lovecall氏が次のように言っているけど、この数字の多さは以下のことが正しいことを表していると思う。

"人間には多かれ少なかれ承認欲求ってのがあって、それは自分の作品さえ認められればそれでいいというものではないと思うのです。

”私の書いた作品が評価されたことによって私自身が認められたのが嬉しい”んじゃないのかな?"
べにぢょのらぶこーる - はてなブックマーカーがドラえもんで良かった。

 ここらへんから、2ちゃんねるの「無名」は凄いと思った。

最後に

 もちろん、2ちゃんねらーが自身のレスを「作品」と思っているかは怪しい(どちらかと言うと、「会話」かな)。でも、出版されるほどの面白さのレスがあるのは確かだし、AA系の板に行けば、「無名」で作品を描いている人は結構みかける(コテハンの人も、もちろんいる)。
 「無名」の全体的な善悪は別にして、ちょっと感心している。



参考文献:

kurotokage
(前略)
">話は明後日の方向にずれますが、実名や固定ハンドルを使用するメリットって何なのでしょう? 売名くらいしか思いつかないのですが。
売名そのものだと思います。現実でも発言内容や仕事の成果などが個人の評価につながります。ブログだと評価されることで閲覧者が増加し、影響力が増します。しかし匿名だと評価の行き着く先が無い、またはその匿名の所属する集団ということになります。"
    黒蜥蜴の異常な愛情 - 「死ぬ死ぬ詐欺」とか「2ちゃんねらー」とかアレコレ(コメント欄)

クリエイティブ・コモンズ―デジタル時代の知的財産権

クリエイティブ・コモンズ―デジタル時代の知的財産権

*1:クリエイティブ・コモンズ デジタル時代の知的財産権NTT出版

*2:http: //creativecommons.org/weblog/entry/4216

*3:ここらへんから、自分はクリエイティブ・コモンズが利他的行為ではなく、利己的行為の集まりだと思う。